海のふた
a0010667_22295716.jpg
さいごの人が海のふた しめずに帰っちゃったから
ずっと そのまま 海のふた 空いたままだよ


なんだかきゅうと心細くなるこんなうたからこの小説は始まりました。
かき氷が大好きで、つつましく寂れた浜辺でかき氷屋をやすまりちゃん。
からだの半分がやけどで色が変わってしまったけど、優しい家族に愛されてあまやかされて優しく育ったはじめちゃん。
二人が過ごした海辺のひと夏が、まりちゃんの素直な言葉で語られます。

賑やかだったまちが静かにすたれていくことや、海の中の魚や珊瑚が減ってきたことや、遺産相続で欲をぶつけあう大人たちを、悲しいと感じながら、争いを疎みながらきちんと生きている。そんな二人の話に耳を傾けていたら、私のこだわりとか不安とか悩みがすぅっと溶けていきました。

きちんと生きる。
優しく生きる。
それがすごくたいせつなことだと思います。
お金は大切だけど、必要以上にほしがらない。だとか、寂しいとか悲しいにも、きちんと受け止めるけど、それを伝染させないとか。いろいろな問題を自分のものとして考えられるひとを素敵だと思うし、みんなが嫌がることをやってあげてそれをにくまずさっぱりしていられたら気持ちいい。物語の中でも、はじめちゃんのお父さんが、意地悪な親戚に気持ちよく家をあげてしまったことや、ぬいぐるみに貝を入れて魂を込めたところとか、すごく好き。

すごいことをしなくても、きちんとしていたら、優しくいられたらいいんじゃないかな。
そういうひとが好きだし、そうなりたい。
なんだか今日は無償にそんな気分なのです。

(写真はイタリア、カプリ島の青の洞窟です)
[PR]
by suzumecco | 2007-02-05 21:54 | dialy
<< いっぱいのしあわせ 幸せな部屋で >>