【小論文】正規社員と日正規社員との賃金格差発生の背景と課題
次の論文は、はじめにわたしが書いたもののダメっぷりと、momota講師の指導後にどう変わっていったのかを並べて書いてみる。※青;suzumecco 緑;momota


■問題;日本経済は少子高齢化の進展と人口減少に直面し、中長期的な労働力不足が懸念される。一方雇用形態の多様化が進み正規社員と日正規社員との賃金格差が問題となっている。マクロ経済的視点からこの賃金格差が生じた背景と課題について論じなさい。

日本における賃金格差は雇用調整の結果、単純労働に従事する非正規労働者が増加したことにより深刻化した。雇用者全体における非正規労働者の割合は32.6%にもなる。この背景を国内要因、国際要因から述べる。

【この段落のコメント】
①「雇用調整」が誰のどんな理由によるものかがまったくわからない。というより、後で説明するのだから、この言葉をここで用いる必要がない。
②32.6%という数字を出しているのはいいことだけれど、この数字が何を意味するのかがさっぱりわからない。つまり、普通の人はこれが良い数字なのか、悪い数字なのか判断できない。言い換えれば、物差しがない。他の国と比較したり、悪化した事を例として出さなければいけない。
③最初の段落なんだからもっと言い切って良い。これだと論旨がわからないし、どの様に文を述べていくのかの全体像がまったくつかめない。


まず、国内要因ではバブル経済崩壊と規制緩和を挙げたい。不況時企業は経営立て直しの為に債務・設備・雇用の三つの過剰の解消を迫られた。また、小泉政権が構造改革路線に沿って規制緩和を進めたため、市場の競争が激化した。国際要因では、産業・経済のグローバル化を挙げる。国際競争が活発になり、安価な他国の製品に対抗するための企業対応結果である。企業はコスト削減と競争力向上のため、需要に合わせて労働コストを増減できる非正規社員の割合を増やしたのだ。

【この段落のコメント】
①国内要因が全然説明になっていない!!ここで言うべきポイントは、”「なぜ」非正規労働者が増加したか”なんだよ。ところが、この文は単に企業が三つの過剰の解消を迫られ、市場の競争が激化した事しか述べられていない。そこから、どうして非正規労働社員が増加したかがわからない。恐らく、最後の部分、「需要に合わせて労働コストを増減できるが」結論なんだろうけど、これは普通に読むと国際要因の結果としか読めない。書くなら、この最後の部分を最初に持ってきて、その後に国内要因と国際要因を述べてください。
②三つの過剰のうち、債務と設備をわざわざ取り上げた理由はなに?雇用の過剰はわかるとしても、残り二つがどうつながるのかよくわからない。


しかし、こうした雇用調整は様々な弊害を引き起こした。第一に、国際競争力激化の対応を労働コストの削減に求めてしまった結果、一人あたりの労働生産性が低下してしまった。単純労働コストは中国などの後発国の方が圧倒的に優位にあり、この方法では日本は対応できない。第二に、非正規社員増による賃金水準の低下は貧困層を生み、生活経済を停滞させた。第三に、非正規社員の労働環境悪化は長時間勤務・偽装請負・労災隠しなどの社会問題となっており、社会不安・人々の労働意欲減退につながっている。

【この段落のコメント】
①「国際競争力激化の対応」じゃないでしょ。ここは、国内要因と国際要因、つまり、コスト削減と国際競争力向上の対応でしょ。上でふたつの要因を述べているのに、わざわざ限定する必要はない。
②この段落では「弊害」を書きたいんだよね?「第一に」の結論はどう見たって「この方法では日本は対応できない」だから、「弊害」になっていない。むしろ、これは前の段落で書くべき理由。段落の目的に沿って、文を構成しましょう。
③「非正規社員の労働環境悪化」は雇用調整の「弊害」じゃないでしょ。全然因果関係がわからない。


問題を解決し、格差是正を進めるためには、産業構造の転換が必要だ。知的財産や高度技術分野など高付加価値産業へシフトすることで労働生産性を高めれば、賃金を上げることが可能になる。企業としても競争力が増し、成長できる。次に、政府にはセーフティーネット充実を望む。就業支援、同一就業形態感の処遇均一化など制度仕組み作りである。国民がそれぞれの能力を十分に発揮でき、またそれが正当に評価される社会であれば日本が高付加価値なものを生み出す地盤となると考える。

【この段落のコメント】
①「問題」ってなんだよ!!結局、非正規労働者増加が悪いのか、それとも非正規労働者の人件費が低かったり、保険などの社会保障がない事が問題なのかがさっぱりわからない(後者の説を採用すれば、非正規労働者=派遣社員の増加そのものは問題にしていない)。
②ポイントは「容易な雇用調整は富をもたらさない」を伝えるべきでしょ。結局、前の段落で「弊害」をきちんと伝えてないから、この段落が全く意味をなさず、いきなり主張されていると感じてしまう。何が問題で、それをどう直せばいいかをきちんと書かなきゃ。
③この段落では「弊害」を書きたいんだよね?「第一に」の結論はどう見たって「この方法では日本は対応できない」だから、「弊害」になっていない。むしろ、これは前の段落で書くべき理由。段落の目的に沿って、文を構成しましょう。
④「非正規社員の労働環境悪化」は雇用調整の「弊害」じゃないでしょ。全然因果関係がわからない。


そして、いろいろ直してもらって、最終的に書いたのがこちら。ちなみに、これはほぼ同じような問題が出たので、だいたいこれくらいのレベルは書けたと思います・・・。


 近年労働者の賃金格差が拡大し、年収300万円以下の低所得者の割合は増え続け、逆に1千万以上の高所得者は増加している。問題は、構造的に低所得者が高所得者になれない点にある。この背景には①労働人口における非正規労働者割合の増加。②国際競争力のある産業とそれ以外での収益格差の拡大、が考えられる。これらの解決が格差是正のためには必要だ。
 そこで、それぞれの要因と課題を述べる。
①正規労働者の増加は、企業の賃金コスト削減策の結果だ。非正規労働者は正規労働者の平均して約半分の賃金で済み、また需要に応じて簡単に増減できる。企業は不況下での財政建て直し、規制緩和による市場競争激化、グローバル化に伴う安価な海外製品への対抗のため、社員を非正規労働者へ切り替えてきたのだ。しかし、短期雇用では知識や技術の伝承が困難なため、企業は一人あたりの労働生産性を上げる必要がある。
②国際競争力のある産業とは、知的財産や高度技術分野など高付加価値産業である。グローバル化の恩恵を受けるのはこうした一部の企業のみである。一方で国際競争力のある貿易材を持たないサービス業や中小企業では相対的に賃金が下がった。これらの産業に従事する人々は労働人口の大きな割合を占めているため、格差是正のためには高付加価値産業へ労働者をシフトする必要がある。
 労働生産性向上と産業の高付加価値化を実現するために、私は3つの提言をしたい。まず企業は収益構造を賃金抑制に求めるのではなく製品・サービスの価値向上を目指すべきだ。政府は、知識・技術で立ち遅れてしまった人に対し、教育訓練を施し就業機会を創出する。労働者には、上記の制度を利用し自身の適正を見極め、能力開発を行うことを期待したい。三者それぞれが価値創造のために智恵を振り絞る事によって、格差が是正され日本の持続的発展を可能にすると思う。

※この文の著作権はsuzumeccoおよびmomotaにあります。
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by suzumecco | 2007-11-23 12:49 | 消費生活アドバイザー
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